18歳の時、部活動・ハンドボールの練習中、
高校時代から痛めていた 左膝内側側副靱帯 が原因で左膝前十字靱帯が断裂した。
内視鏡を入れてみたら、ぶちっと切れた靱帯は、
伸びきったパンツのゴムのように頼りなかった。
前十字靱帯を繋ぐ手術をして、まだギブスが取れていない頃、
原付の交通事故で、今度は右膝前十字靱帯が断裂した。
左の時と同じように内視鏡を入れたら、
生き生きとした銀色に輝く靱帯が、カッターでスパーンと切ったように
潔くも一気に切れてしまっていた。
・・・片膝で全治1年。両膝で2年。
ハンドボールが出来なくなる・・・
(といっても全国を狙ったりするには程遠い 弱小選手だったが)
ベッドで声を殺して泣いたことが何度あったことか。
術後のリハビリ、思うように動かない足、やせ細る筋肉、
車椅子に続き、松葉杖での生活が続いた。
膝がゆるい感覚で、横からの力に弱い。
膝のしなやかな動きが苦手。
靱帯が切れたときのパ~ンという音と、痛みを体が覚えている・・・
その恐怖がぬぐい去れず、足を大きく踏み込めない。
バンクーバー五輪、男子フィギュアスケート 高橋大輔。
フリーの演技に、涙が止まらなかった。
右膝前十字靱帯断裂、手術、壮絶なリハビリ。
本来の滑りを取り戻したのは 本人いわく
「ここ二カ月ほど」というギリギリのスケジュールで、
彼はオリンピックの氷上に立った。
選んだ曲が また洒落ている。
フェデリコ・フェリーニ監督の代表作『道』(ニーノ・ロータ)が流れる。
その状況で、迷いなく果敢な4回転へのチャレンジ、
そして この指先までしなやかな演技、
目まぐるしく変わる豊かな表情、
演技後のガッツポーズ。
大きな重い銅メダルがかけられ、
日の丸が上がるのを見ていた高橋大輔の目が静かに赤くなった時、
己は何もしてないのに(汗)テレビの前で号泣。
高橋大輔は、銅メダル獲得後のインタビューの中で、こう言っていた。
「怪我をして良かったです」
そう言えるのは、
想像を絶する努力をし、怪我の前より確実に何かを掴んだ何よりの証拠だろう。
銅メダル、心からおめでとうございます!!