自殺対策緊急強化事業

2年越しの企画(12月9日の日記参照)が、本番の日を迎えた。
機材搬入して設営して、パネリストの方とバタバタと打ち合わせして
あっという間の正午スタート。
自殺対策緊急強化事業 ラジオ特別番組
「いるだけで、ありがとう。これからも、ありがとう。」
~地域のネットワークでうつと共生、自殺予防~

公開ではなかったが、NPO法人こころ塾はオープンしていることもあり、
熱心なリスナーさんや来場者で席が埋まった。
配られたカードには、ここに足を運んだ理由が赤裸々に書かれていて
中には「家族が自死した。なぜなのかずっと考えているので来た」というような
趣旨のカードもあった。
警察庁の調べでは、このままでいくと
12年連続、年間自殺者が3万人を超える懸念がある。
つい先日厚生労働省が発表したデータによると、うつ病の人が100万人を超えた。
自殺に追い込まれる人の多くは、
健康問題・雇用問題・金銭問題など様々な要因を抱えつつ、
一線をこえるか越えないかのぎりぎりの時には、
「うつ」などの心の問題を抱えていることが多いが、
決して、「うつ解決」=「自殺解決」ということではない。
この問題の根っこにあるのは、経済・雇用などを含む社会全体。
今回の特番は、その一線を越えるか越えないかの、
いわゆる「水際対策」ともいえる、
「うつを知って理解し、共に生きること」に軸足を置いた2時間だ。
ゲストも実に多彩な顔ぶれの専門家が集まった。

そして自論を展開するパネルディスカッションというよりは、
リスナーや、チラシを見て悩みをFAXいただいた方の
実際の「うつ」の悩みや、「自殺願望」などのメッセージに
答えて、共に考えていく形で議論を展開した。
愛媛大学医学部元教授 金澤 彰(かなざわ・あきら)さんは、
精神科医としてのお立場から、専門的なことにも
分かりやすく回答、何だか全てをお任せしたくなるような穏やかなお医者さん。

ジャーナリスト 上野 玲(うえの・れい)さんは、
先日9日にもラジオ出演いただいていたが、
うつの書籍を多数書かれ、そのためにかなりの取材をし、しかも
自身が「うつ」と12年付き合っているという説得力!

聖カタリナ大学講師 精神保健福祉士 安藤 浩範(あんどう・ひろのり)さんは
精神科病院にお勤めだった福祉士で、現在教壇に立っている立場、ま~とにかく
話の入りどころがうまい。よく人の話を聞いてくださっているお方。

司法書士 木原 道雄(きはら・みちお)さんは、
金銭トラブルの解決のために、県外まで飛び出していく行動派。
今回は特に、専門家同士の横の連携について強く訴えていた。
多分喋り足らなかっただろうな~

松山記念病院 うつ病看護認定看護師 渡部 真子(わたなべ・まさこ)さんは
ご専門中のご専門。毎日うつの患者さんと接してらっしゃるのだが
ま~若いのにびっくり。話が優しいのにびっくり。
そして何よりキレイなのにびっくり。

NPO法人こころ塾 代表理事  村松 つね さんは
言わずと知れたこの特番の仕掛け人。
村松さんが居なかったらこの企画は無かった。
底抜けに明るいおばちゃん。(失礼!)

やのは今回コーディネイター兼進行。
ゲストの方はもちろん、リアルタイムでメールやFAXが来るので
それも間で紹介させていただきつつ。

それにしても反響の多さに驚きつつ、質問も多数寄せられた。
(名前と電話番号記入の方には後日こころ塾からご連絡入れます)
さまざまな問題が指摘され、さまざまな提言がなされた。
職場の人に理解してもらおうと思うからしんどい、あまり期待するな。
理解される方法のひとつは、同僚や上司に一緒に病院に来てもらうこと。
抗うつ薬はやみくもに飲んではいけないし、
突然勝手にやめるのも大変危険である。
精神科医が薬を出しすぎるのも問題。
子どものうつは「親の子離れ」も必要。
うつを治そうと思うから大変、
うつと共生できるよう、生き方の軌道を少し変えてやるのがコツ。
「死にたい」と思うのは病のせい、
思い切って「死にたい」という感情を口に出してぶつけてみよう。

番組終了後、このブログにも「楽になりました」という書き込みが寄せられていた。
少しでも何かのきっかけになってくれれば、やった甲斐があるというものだ。
自殺未遂で病院に運ばれた人の実に4人に3人が、誰にも相談していない現実。
悩んでいるあなた、1人じゃないです。誰かに声を出してください。
愛媛いのちの電話や、NPO法人こころ塾、NPO法人松山自殺防止センターや、
愛媛県心と体の健康センター、各保健所など、「身近な相談窓口」を開設しています。
一本の電話から希望の光が見えることがあります。まずはお気軽にお電話ください。
「愛媛いのちの電話」は、089-958-1111「NPO法人こころ塾」は、089-931-0702
実は昨年、私も、気付かなかったばっかりに
大変お世話になったある方を、ある日突然亡くしてしまった。
本人だけが、専門家だけが、家族だけが、特定の人だけが対処していくのではなく、
まずは極限に達した時に患っていることの多い、「うつ」について
正しい知識の共有をしたうえで、
地域みんなが、私たちがそのサインに気づいていくこと、
つまりつながっていくこと。
そんなことが、「生きたい」というSOSをキャッチすることにつながる
第一歩だと信じている。

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