東亜珈琲館

昭和53年6月にオープン以来、33年に渡り営業を続けてきた
松山市湊町「東亜珈琲館 港町店」が今日21時で閉店した。

「らくやのぉ!」はその閉店の瞬間を
生放送でご一緒させていただくことになった。


お店には、閉店を惜しむお客さんがひしめき合っている。
入店待ちの列は店外にも続いた。
夜にもなると、ツナサンドやピザトーストなどの名物サイドメニューは品切れ、
珈琲は30分待ちなほどの盛況ぶり。

でも誰も怒ったりする人など居なくて
むしろ珈琲が来るまでの時間を惜しむように、
天井を見上げたり写真を撮ったりタバコを燻らせたりして
東亜の空間を楽しんでいた。

ラジオの番組宣伝を聴いて、閉店を知った人。
今日の新聞を読んで駆けつけた人、
友人から伝え聞いた人・・・
東亜のファンのお邪魔にならないだろうかと、マイクの前に座ったが
「ラジオを聴いて閉店を知って」と
番組にメッセージを下さった人がホントに多くて
そういう風にお知らせできたことは、
やらせていただいて良かったなと思った。

閉店のニュースを知らせてくれた記者さん、
それを聴いて何とかラジオを!と調整した東亜常連の局の偉い人、
中継機材をずっと2時間外で見張ってくれてたプロデューサー、
そしてこんな大事な日に快く生放送を許して下さった店長。
なんと仕込みの時や閉店後、ラジオをかけてくださっていて
らくやのぉもいつも聴いてくれていたという涙が出るようなご縁!!!
いろんな人の想いが、ここでの生放送を可能にした。

仕事を途中で抜けて来店したOLさん、
娘を連れて青春時代をなつかしんでくれた母子、
思い出を語られたのだろう老夫婦、
高速バスに乗って南予から遥々来店した方、
交際中に1つのツナサンドを分けあったカップル、
珈琲好きのお祖父ちゃんに連れられてきていたという方、
東亜の近所にあったマハラジャで働いていた人、
東亜でアルバイトをしていたという人も複数出現、
・・・33年間、ここでいろんな人の悲喜交々を観てくれていたんやなぁ。

玉井嗣雄 店長は、今日も変わらぬ素敵な声で
半袖蝶ネクタイの制服姿で忙しく店内を動いている。
思い出をひとつ尋ねると、敢えて20年以上前の大失敗のことを語ってくれた。
お客様に出したケーキに髪の毛が入ってて・・・
それをお客様に指摘されて頭が真っ白に。
そして、お詫びしてもお詫びしきれないと想い、
とっさにお客様の目の前でそのケーキを全部平らげた、という。
「嬉しい言葉というよりも、そういうどうしようもなく辛いことや大失敗こそ
 忘れてはいけないんですよ」と玉井店長。
私の喋りに元気をもらっていた、と言ってくれた店長が握ってくれた手が
あまりにも力強くて温かくて、そして何故か涙が流れた。
玉井店長とお話が出来て、本当に良かったです。

そして店長が淹れてくれた、
ゴールデンブレンド ソフトタイプ。
ほろ苦くてしみいる美味しさでした。

閉店のアナウンス後、誰からともなく立ちあがって
お客様から自然と拍手に包まれた店内。
33年間、本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。
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コメント

  1. 呑志 より:

    放送は聴けませんでしたが、皆さんの想いはとても伝わってきました。
    私も高校時代に東亜に行ってました。
    当時はまだ珍しかった水出し珈琲とか飲んでたなぁ
    ここのところ老舗飲食店の閉店が多くて、寂しさが募ります。

  2. 脳天喜 より:

    懐かしい、会社の打ち合わせに使ってました。
    またひとつ名店が消えてしまった。
    さびしいかぎりです。
    団塊の世代が爺婆になってあまり喫茶店を利用しなくなりましたからね。

  3. ポチタロウ より:

    初めてお店に行きましたが、雰囲気のいいお店で、飾り等を写メに収めました。閉店の放送が流れた直後、私も拍手をしました。ありがとうございました。

  4. 松山のサザエさん より:

    初めで最後の「東亜珈琲」
    ほろ苦いとっても美味しいコーヒーでした。
    店長の閉店のあいさつの後、皆の拍手。
    皆の思いのこもった拍手。感激しました。
    ありがとうございました。

  5. ドラえもん@うわうわ~! より:

    行きたかった~! 東亜珈琲館。。。
    昔ながらのお店が少しずつ消えてゆく・・・寂しい限りです。
    「コーヒーショップ」ではなく「喫茶店」。
    「ファミレス」ではなくて「食堂」や「洋食屋」。
    「回転寿司」ではなく「寿司屋」。
    どの言葉もお店も一定以上の世代にはワクワクするお店のような気がします。
    残念ざんねん。。。マスターに拍手! 東亜珈琲館に拍手!!!

  6. 鉄人 より:

    はじめまして!いつも楽しく読ませていただいてます。33年ですかァ・・・すごいですね!私も飲食店を経営しておりますんで、そのすごさがよくわかります。まだ19年ですが、まだまだ頑張らねばと思いました。

  7. 専務 より:

    本当に残念です。
    毎日通っていました。
    こんな素晴らしい空間がなくなるなんて。
    ジャルダンの若女将も来てました。
    平和温泉も同じ日に閉店。
    昭和が消えていきます。
    マスターのあの渋い声が聞けないのは文化的損失だ。立派な建て構えといい、昭和よ、もう一度!

  8. KURITA より:

    さっきテレビのニュースで知りました…
    絶句しました…
    20年前、学生時代アルバイトしていて、とても厳しく、そして楽しく働かさせていただきました。
    もう10年以上行ってないけど、閉店してたなんて…最後に行けなかったのが、本当に悔やんでなりません…
    なにかコメントしたくて、いろいろ調べてたら、やのさんのブログにたどり着きました。
    玉井店長、長い間お疲れ様でした。いつまでもお元気でm(_ _)m

  9. ninja900 より:

    先日帰省中の8/18に東亜珈琲館の場所へ行ってはじめて閉店を知りました。
    奥さんと24年通ってました。
    大変残念です。
    ただ、最後の雰囲気をやのさんのブログで味わえて良かったと思います。

  10. 小梶隆広 より:

    来月に松山を訪れます。二年ほど前に訪れたのが最後でした。初めて訪問しましたのは15年ほど前で、訪問の度毎に、美味いコーヒを飲みに行きました。味だけではなく店の雰囲気も好きでいつも愛媛共済会館に泊まりモーニングコーヒーの日課でした。ここ数年間は東横インに宿泊しての訪問でしたが、少し遠いですが味わいに行っていました。来月に久しぶりに飲もう。今インターネットを開けて初めて閉店の事実を知りました。松山での楽しみが一つ減り大変残念です。誰か後を継いで再会してくれる人が居られると有難いです。地元の人々だけではなく観光客が多く訪れてくれれば採算に乗るでしょう。私の思いですが喫煙が可能で有ったのが災いの原因の一つで有ったような気がします。嫌煙派は今後はもっと増えるでしょう。禁煙コーヒー店として再開をして頂ければお客の変化が有るでしょうね。私も嫌煙者です。悪臭を漂わすタバコの為に珈琲のアロマが消えうせてしまいます。良い珈琲店では喫煙を認めてはだめです。

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